🎩Carnet de Haute Mode d’Emera / エメラのオートモード手帖🎩 #02
ハッターのキャラクター、その多彩なモデルたち
『不思議の国のアリス』のマッドハッターは、その奇抜な魅力で多くの読者を惹きつけてきました。
このキャラクターには、実は複数の実在の人物がモデルとして影響を与えていると言われています。
今回は、その興味深い候補たちを紐解いてみましょう🪄
1. セオフィラス・カーター:オックスフォードの「狂った帽子屋」
🇬🇧オックスフォードに実在した家具業者、セオフィラス・カーター(Theophilus Carter)は、地元で「狂った帽子屋」として知られた奇人でした。
雨の日も晴れの日も、常にシルクハットを被っていた彼。その風変わりな姿に加え、発明家としても名を馳せ、寝ている人を放り出す「跳ね上げベッド」など、奇妙な発明で人々を驚かせました。ルイス・キャロルは、挿絵画家ジョン・テニエルをわざわざオックスフォードに呼び寄せ、カーターの姿をハッターのモデルとして見せたという逸話も残っています。
https://en.wikipedia.org/wiki/Theophilus_Carter
2. サミュエル・オグデン:「気狂いサム」の影
1973年の雑誌でエリス・ヒルマンが寄稿した「狂った帽子屋は誰か」では、マンチェスターの「気狂いサム」ことサミュエル・オグデン(Samuel Ogden)がハッターのモデル候補として挙げられています。
残念ながら彼の画像は残っていませんが、その風変わりな人物像がハッターのイメージに影響を与えた可能性は否定できません。
3. チャールズ・バベッジ:計算機械に取り憑かれた数学者
ケンブリッジ大学の数学教授、チャールズ・バベッジ(Charles Babbage)もまた、ハッターのモデルとして名が挙がります。
計算機械の研究に没頭し、時に「狂気」に近い情熱を見せていた彼。その姿が、ハッターの風変わりな性格に通じる部分があったのかもしれません。
https://ja.wikipedia.org/wiki/チャールズ・バベッジ
4. ベンジャミン・ディズレーリ:政治家の面影
ハッターの挿絵を手がけたジョン・テニエル(John Tenniel)は、キャラクターの容姿を当時の政治家ベンジャミン・ディズレーリ(Benjamin Disraeli)に似せたとも言われています。テニエルの鋭い観察眼が、ハッターの独特な雰囲気に政治家のエッセンスを織り込んだ可能性は大いにありそうです。
5. ジェームズ・ベニング:帽子店のエレガンス
ロンドンの老舗帽子店「James Lock & Co.」(@lockhatters)の当時のショップマネージャー、ジェームズ・ベニング(James Benning)もまた、ハッターのインスピレーション源として名が挙がります。帽子職人としての洗練された佇まいが、マッドハッターの個性的な魅力に影響を与えたと考える人もいます。
https://www.lockhatters.com/pages/heritage
終わりに
マッドハッターは、単なる「狂った帽子屋」を超えた、複雑で魅力的なキャラクターです。
セオフィラス・カーターの奇抜な個性、サミュエル・オグデンの謎めいた存在感、チャールズ・バベッジの情熱、ベンジャミン・ディズレーリの風格、そしてジェームズ・ベニングの職人魂。
これら多彩な人物の要素が融合し、不朽の名キャラクターが生まれました。
しかし、これらのモデル説は多くが逸話や推測に基づいており、確固たる証拠は少ないのが実情です。
加えて、19世紀の帽子製造で使われた水銀による中毒が「mad as a hatter」という慣用句を生み、ハッターの風変わりなイメージに影響を与えた可能性も見逃せません。
マッドハッターの魅力は、こうした歴史的背景と想像力の交錯にあるのかもしれません。
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